この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「それは素晴らしい。いいですね。研究熱心な人はとても好きです。私も突き詰めていくタイプなのもので。なんだかとても気が合いそうですね」

 なるほど、これは同類だなと明日香の勘が告げている。この人も子供の頃から食べることが好きで、食へのこだわりが強かったのだろう。

 明日香はくすりと笑いをこぼす。

「そうかもしれません。平山さんもなかなかのこだわりをお持ちですよね。この料理を食べただけで、それが伝わってきますから」

 野菜と白身魚のポワレにかかったソースに、明日香は感銘を受けながらそう述べる。

 野菜と一緒に口に含んだときと、魚と一緒に口に含んだときとでソースの味わいが変化しており、まるで魔法のソースのようだ。とても強いこだわりがあるとわかる。

 明日香が合っているだろうと視線で問いかければ、平山は声に出して笑いながら答える。

「ははっ、お見通しですね。レシピはシェフが考えたものですが、確かに私のこだわりも含まれています。どの店の料理も、私がOKを出したもののみ、提供することを認めているので」

 平山の口調はずっとやわらかいが、会話の内容から彼が妥協しない性格だと窺える。表面上の印象とは随分と違うが、押しが強いと思ったのはあながち間違いでもないのかもしれない。

 慶介とはタイプが違うが、真っ直ぐに意見を言い合えそうな平山に、明日香は好感を抱いた。
< 163 / 184 >

この作品をシェア

pagetop