この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
 その後も二人は食事を楽しみながらも、互いのことを語り合い、気づけば食後のコーヒーが提供される段階まで時間が進んでいた。

 とてもいい時間を過ごせたが、明日香はまだ最も重要なことを平山に訊いていない。どうしてもそれだけは今日のうちに訊いておきたいと、明日香は彼に問いかける。

「一つお訊きしたいことがあります」
「どうぞ」

 平山は優しく促してくれる。明日香は彼と真っ直ぐに視線を合わせながら、その質問を口にした。

「平山さんはどうしてこんなにも如月を継ぎたいと思われているんでしょうか?」

 深い繋がりがあるわけでもないのに、どうしてそれを望むのかが気になっていた。どういう思いでそれを望んでいるのかを知りたかった。

 もしも彼とパートナーとしてやっていくならば、明日香にとってはその理由が最も重要だと思ったから。

 平山は真摯な態度で答えてくれる。

「それは私が如月の味噌に惚れ込んでいるからです。完全に虜になってしまっていて、あの味噌がこの世から消えてしまうことが耐えられないんです。明日香さんも、如月の味噌がなくなるのは、世界の損失だと思いませんか?」

 予想以上の愛の深さに驚きながらも、彼の言葉に同意する。

「そうですね。大きな損失だと思います。私もうちの味噌が世界で一番好きですから」
「如月の味噌はとても価値のあるものです。そんな価値あるものを守る役目を担えたら、それはとても幸せなことだと、私は思います。だから、跡を継ぎたいと望んでいます」

 逸らされない瞳から彼の情熱が伝わってくる。本当に如月味噌に惚れ込んでいるらしい。

 これ以上ないほど嬉しい答えに、明日香は胸が温かくなる。
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