この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
エピローグ
 山口県内にある老舗の味噌の蔵元・如月味噌醸造元には、数名の若手が仲間入りし、新しい風が舞い込み始めた。

 そんな若手のうちの一人はもちろん明日香。今は父のもとで味噌づくりと経営について学ぶ日々を送っている。とても充実した日々だ。

 明日香は工場から事務所へと戻ってくると、若手仲間の一人に話しかけられた。

「明日香さん。新しい契約先が見つかりましたよ。ここ、どうでしょう?」

 そう言って、契約先の情報を見せてくるのは、あの平山。

 如月味噌の販路拡大や、経営改善において、その力を発揮してくれている。

 飲食店経営で成功していただけあって、彼から学ぶことはたくさんあり、明日香はもちろんのこと、父も大いに感謝している。

 今も新たな販売先の提案に、明日香はいたく感心している。

「平山さん、すごい! よくここを落とせましたね。この料亭は食材へのこだわりが強いから、新規契約の話は難しかったんじゃありませんか?」
「うちの味噌は一度味わっていただければ、その魅力は十分伝わりますからね。あとは横の繋がりで、その機会を設けるだけですよ」
「いやいや、本当にすごいですよ。やっぱり平山さんをうちに招き入れて、大正解だったなー」

 しみじみとそんなことを言えば、平山はくすりと笑いをこぼす。

「ありがとうございます。でも、彼の前でそんなことを言ったら、また怒ってしまいますよ」
「あー……」

 平山が視線で示す先にいるのは、面白くなさそうな表情をしたもう一人の仲間。平山に敵対心むき出しの彼は、いつも平山と張り合っている。

 明日香は宥めるように彼にも話しかけた。
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