この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「じゃあ、如月がお手本見せて」

 お手本と言われて、自分が慶介に恋人らしく振る舞う様を想像してみる。いつも好き勝手言い合っている慶介に、甘い表情で語りかける姿を。

 それはなんだかとてもむずがゆくて、恥ずかしくて、明日香は思わず両手で顔を覆ってしまった。

「……無理。ここでやるのは恥ずかしすぎる。というか、いきなりはできない」
「自分から提案しといて、なんだよそれは」
「ごめん……」

 二人の間に沈黙が流れる。

 まったく慶介の言う通りだが、とてもこの場ではできそうにない。だが、このまま諦めたくないとも思う。

 せっかく慶介がこの無謀な提案に乗ってくれようとしたのに、それを無駄にはしたくない。なによりも次に誰か好きになるなら、この人がいいと思ってしまった。友人思いの優しいこの男に惚れてみたいとそう思った。

 明日香は慶介を窺うようにしながら、おずおずと問いかける。
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