この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「そういうのダサいからやめたほうがいいですよ。陰でこそこそ言うなんて、いい大人のすることじゃありません。言いたいことがあるなら、直接言えばいいじゃないですか」
彼女らの姿は見えなくとも動揺が伝わってくる。本人に聞かれているとは思わなかったのだろう。
「……私たちは如月さんに気を遣っていただけよ。皆の前で言ったら、如月さんが恥をかくじゃない。ねえ?」
くすくすと馬鹿にしたような笑い声が聞こえてくる。向こうの方が人数が多いからか、優位に立っているとでも思っているのだろう。だが、明日香はそんなことで屈しはしない。
「私は恥じるべきところなんて一つもありません。真面目に仕事をしているんです。だから、気になることがあるなら、誰の前で言ってくださっても構いませんよ」
真正面から抗議する明日香に胸がすっとするが、心配にもなる。少しも折れない明日香の態度が、矢沢たちの悪感情を増幅させてしまうのだ。
「なにそれ。実力があるって言いたいわけ? 勘違いしないでよ。あの企画のリーダーがあなたに務まるわけないじゃない。媚びを売って仕事を取っているくせに」
「私は媚びを売ってなんていません。それにその発言、部長のことも悪く言っているとわかっていますか? 部長は私情で評価を決める人じゃありませんよ」
「だったら、穂高くんにでも頼んで、譲ってもらったんじゃないの? いつもベタベタしているじゃない。まったく穂高くんがかわいそうよね。こんな人に利用されちゃって」
「っ、穂高はそんなことしません!」
明日香の強い声が響いてくる。先ほどまでは冷静な口調だったのに、今はその声に感情を滲ませている。
「彼は誰よりも真剣に仕事に臨んでるんです。正当な理由なく、人に仕事を譲ったりしません。今の発言、撤回してください」
自分のことよりも慶介のことで怒るとは人がよすぎる。自分のこと以外無視しておけばいいのに、本当に誰よりも真っ直ぐで不器用な人だ。
慶介の話題となると、さすがに相手も簡単には言い返せないのだろう。しばしの沈黙が流れる。
「……どうせ穂高くんの弱みでも握ってるんでしょ。じゃなきゃ、彼があなたみたいな人を相手にするわけないもの。それに脅して仕事を取ったなら納得がいくわ」
これはまた明日香を怒らせる発言だ。このままだとさらにヒートアップしてしまうだろう。
慶介は明日香がなにかを言う前に、彼女たちの前に姿を現した。
彼女らの姿は見えなくとも動揺が伝わってくる。本人に聞かれているとは思わなかったのだろう。
「……私たちは如月さんに気を遣っていただけよ。皆の前で言ったら、如月さんが恥をかくじゃない。ねえ?」
くすくすと馬鹿にしたような笑い声が聞こえてくる。向こうの方が人数が多いからか、優位に立っているとでも思っているのだろう。だが、明日香はそんなことで屈しはしない。
「私は恥じるべきところなんて一つもありません。真面目に仕事をしているんです。だから、気になることがあるなら、誰の前で言ってくださっても構いませんよ」
真正面から抗議する明日香に胸がすっとするが、心配にもなる。少しも折れない明日香の態度が、矢沢たちの悪感情を増幅させてしまうのだ。
「なにそれ。実力があるって言いたいわけ? 勘違いしないでよ。あの企画のリーダーがあなたに務まるわけないじゃない。媚びを売って仕事を取っているくせに」
「私は媚びを売ってなんていません。それにその発言、部長のことも悪く言っているとわかっていますか? 部長は私情で評価を決める人じゃありませんよ」
「だったら、穂高くんにでも頼んで、譲ってもらったんじゃないの? いつもベタベタしているじゃない。まったく穂高くんがかわいそうよね。こんな人に利用されちゃって」
「っ、穂高はそんなことしません!」
明日香の強い声が響いてくる。先ほどまでは冷静な口調だったのに、今はその声に感情を滲ませている。
「彼は誰よりも真剣に仕事に臨んでるんです。正当な理由なく、人に仕事を譲ったりしません。今の発言、撤回してください」
自分のことよりも慶介のことで怒るとは人がよすぎる。自分のこと以外無視しておけばいいのに、本当に誰よりも真っ直ぐで不器用な人だ。
慶介の話題となると、さすがに相手も簡単には言い返せないのだろう。しばしの沈黙が流れる。
「……どうせ穂高くんの弱みでも握ってるんでしょ。じゃなきゃ、彼があなたみたいな人を相手にするわけないもの。それに脅して仕事を取ったなら納得がいくわ」
これはまた明日香を怒らせる発言だ。このままだとさらにヒートアップしてしまうだろう。
慶介は明日香がなにかを言う前に、彼女たちの前に姿を現した。