この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「しらす丼! やっぱり江の島と言えばしらすだよね」
「だな。でも、妥協はしたくない。ざっと見て回ってから決めるぞ」
「もちろん」

 しらす丼を求めて島内を回る。やはりしらすは名物になっているのか、しらす丼を提供している店は多い。二人は妥協することなく心惹かれる店を探し、二人ともが納得するところへと入った。

 空腹ももはや限界だから、すぐにでも注文したいが、明日香はメニューを見ながら悩んでしまう。

「うー、どうしよう。生しらすも釜揚げしらすも、どっちもおいしそう」

 しらすを食べることだけは確定しているが、生しらすと釜揚げしらす、どちらを食べるかまでは決めていない。真剣にどちらにすべきかと悩んでいると、慶介が第三の選択肢を与えてくれる。

「ハーフになってるやつがあるぞ」

 慶介が指さした先にはハーフ丼の文字。生しらすと釜揚げしらすのハーフ丼なるものがあるようだ。

「本当だ! え、こんなのもうこれ一択でしょ」
「そうだな。俺もそれにするわ」

 二人して同じものを注文する。わくわくと心を躍らせながら待っていれば、ほどなくしてしらすがたっぷり乗ったしらす丼が二人の前へと置かれる。

 明日香は早速いただきますと手を合わせ、しらすを口へと運んだ。

 生しらすも釜揚げしらすもどちらもおいしくて甲乙つけがたい。違った食感を楽しめるのがとてもいい。あまりのおいしさに、生理的な涙が浮かんでくる。

「ははっ。なんでちょっと涙目なんだよ」
「だって、おいしいんだもん。プリプリとふわふわ。最高すぎる」
「それはよかったな」
「うん。もうすごく幸せ」

 明日香は一口食べては、「おいしい」、「幸せ」と言いながら、米粒一つ残さずしらす丼を食べ切った。
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