この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
 ある程度の距離を歩き、満腹感も気にならなくなってきた頃、慶介が少し座って休憩しようと促してきた。帰りのことも考えれば、確かに一度足を休めておきたい。

 慶介の提案に頷き、二人は海岸へ続く階段に並んで腰を下ろした。

 二人の距離は恋人のそれらしくとても近い。少し体を動かせば、軽く腕が触れ合うほどだ。

 信頼できる人の存在をすぐそばで感じられるのはとても安心する。こういう過ごし方もいいものだなと思いながら、海を見つめていれば、隣から優しい声が響いてきた。

「明日香」
「ん?」

 明日香も優しく返す。海に目を向けたまま、耳だけ慶介の方に集中させるが、なかなか次の言葉が聞こえてこない。どうしたのだろうかと、目線を海から慶介へと移せば、二人の目が合った瞬間にようやく彼の口が開いた。
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