この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
『まだもう少し言ってもいい?』
『いいよ』
『好き。慶介が好き』
『明日香が好きだよ』

 ここ数日は毎晩同じようなやり取りをしている。何度も『好き』と言い合わないと落ち着かない。とても大きな不安に駆られていて、その言葉を言わずにはいられないのだ。

 早く慶介に心変わりしてしまいたいと願いながら、毎晩彼に好きだと伝えている。

 おそらく慶介は明日香の心境をよくわかっている。だからこそ、毎晩このやり取りに付き合ってくれているのだろう。

 なにしろ明日香がこうなっている原因は慶介にも深く関わること。明日、将人と奈菜に会うという約束が明日香を不安にさせているのだ。

 今日は前日ということもあり、まだこのやり取りを続けていたいと思ってしまうが、さすがに深夜まで付き合わせるわけにはいかない。

『いつもありがとう。遅くにごめんね』
『いいよ。いつでも連絡してこい』

 慶介の優しさが心に染み渡り、感謝の気持ちが湧き上がる。

『ありがとう。慶介のおかげでいつも助かってるよ。本当にありがとう。じゃあ、そろそろ寝るね。おやすみ』
『おやすみ』

 不安はまだ消えていないものの、慶介のおかげで少しだけ心が落ち着いている。そっと目を閉じ、寝る体勢に入れば、ほどなくして眠りにつくことができた。
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