この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「まだ詳細言えないのはわかるけど、リーダーに選ばれたことくらい言っても大丈夫だから」

 耳がその言葉を捉えて数秒後、ようやく脳がその意味を理解する。

「あ、仕事のこと?」
「それ以外になにがあるんだよ」
「あー……ないね。ない、ない。そうだよね。仕事のことだよね。うん、うん。仕事ね」

 勘違いをした自分が恥ずかしくて一人慌てる。全員から訝し気な視線が送られてきて、明日香は取り繕うように早口でしゃべり始めた。

「あ、えっとね、実は最近仕事で大きなプロジェクトの開発リーダーに選ばれたの。今、穂高と組んで頑張ってるとこなんだ」

 その報告に一番に喜んでくれたのは奈菜だ。

「すごい! おめでとう、明日香ちゃん! やっぱり明日香ちゃんはかっこいいね。本当にすごいよ。おめでとう」
「うん、本当にすごい。明日香は昔から努力家だからね。きっとこれまでの頑張りが認められたんだね。おめでとう」

 純粋に真っ直ぐに祝ってくれる気持ちが伝わってきて、胸がじんとする。二人のこういうところが明日香は好きなのだ。

「ありがとう、二人とも。祝ってくれて嬉しい。でも、プロジェクトはまだまだこれからだから、いい結果が出せるように穂高と頑張るね」

 慶介と視線を合わせて頷き合う。将人と奈菜からはたくさんの応援の言葉が送られてくる。

 彼らの温かさに明日香は強く励まされ、いい友人に巡り合えたことに深く感謝した。
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