この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~


 研究所の開発室で一人考え込む明日香。

 目の前に置かれているのは試作中の塩レモンソース。この企画のメンバーに選ばれた後輩が作ったものだ。

 今回は三種類のソースを同時に発売するということで、三種類それぞれ違うメンバーが試作を担当している。

 カルボナーラは明日香が担当し、アラビアータは二年目の社員が、そして、塩レモンソースは三年目の社員が担当している。慶介もこの企画のメンバーではあるが、今回は試作のメイン担当にはならず、全員のサポート役に徹してくれている。

 検討会を十日後に控えた今、カルボナーラソースとアラビアータソースの試作はすでに完成しているものの、塩レモンソースはまだ完成に至っていない。

 いいところまではできているのだが、まだ少しなにかが足りないのだ。

 明日香は試作品を口に含みながら、それがなにかを考える。目を閉じ、腕を組んでうーんと唸っていると、誰かが入ってくる気配を感じた。

 目を開いてドアの方を見てみると、少し前にここを出たはずの慶介が立っている。

「あれ、穂高まだ帰ってなかったんだ」
「如月がまだ納得してない顔してたからな。もう少し考えるんだろ? 付き合うよ」

 明日香がもう少し粘るつもりだと気づいていたらしい。心強い言葉に明日香は笑って「ありがとう」と答えた。
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