両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
これが大人のキスなんだと初めて知って頭がぼうっとなり、くらくらとした。

「愛してる、千愛」

息苦しくて、もう無理と思うくらいに何度も角度を変えてキスを繰り返した。

「千愛は?」

私の気持ちを今、聞くの!?
もっと後じゃないの?と考えているうちにまた唇を奪われた。
酸素が欲しくて逃げた私の顎をつかみ、またキスをする。
釣り合わないとか、ふさわしくないとか、そんなことを考えられなくしてしまう。

「答えて」

耳元で囁く声が甘い。
まるであの愛の夢のように。

「す、好きだから、もうっ……」

体を押すとふっと耳元で笑う声がした。

「俺はまだ足りないけど?」

「わ、私はじゅうぶんっ」

しかたないなと笑いながら唯冬は唇を離してくれた。
息を整え、くたりとその胸に顔を埋めていると真剣な声で唯冬は言った。

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