両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
鍵があれば、いつでも逃げれる。
閉じ込められたりしない。
そう思うためのお守りのようなものだった。

「そうか、わかった」

唯冬はそう言うと私の手にある鍵に触れた。

「これは俺が処分する」

「だ、だめ!これがないと、私っ」

「千愛がこれを持っている間はきっと弾けない。だから、この鍵は俺が引き受けよう」

「唯冬が?」

「痛みを俺と共有すると思えば、少しは楽にならない?」

そう言って抱き締めると、唇にキスをした。

「なっ!?」

その軽いキスに動揺した隙に鍵はあっさり唯冬の手に渡ってしまう。

「もらった」

「そんな子供みたいなことして!」

「ああ、そうか。子供っぽいキスだったか」

違う、そっちじゃない!
そう言おうとした唇を塞ぎ、深いキスをした。

「んっ……むっ……」

舌が唇をなぞると中へ割って入り、私の舌を絡めとる。
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