両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
自信がないせい―――持てるわけない。
カフェのお客さん達が唯冬を見ている。
大丈夫、私じゃない。
合わせて弾けば、大丈夫。
隣には唯冬がいるのだから。
鍵盤に指をおいた。
指は動く。
けど―――音が違っていた。
唯冬の音は穏やかで優しい。
その音に負けてしまうのだ。
私の音が。
焦る気持ちに気をとられてミスタッチするとそこから崩れてしまった。
「……っ!」
流れるように弾けずにちぎれる音、つまずいて足を踏んでしまって、裾で転ぶ。
散々なワルツ。
もう弾けない―――そう思った瞬間、唯冬が小さく『大丈夫?』と囁く。
泣きそうな顔をした私に気づいて、目で合図して指を離させた。
唯冬は一人で最後まで弾ききると店内からは拍手が起こる。
大きな雨音のような拍手が。
これはすべて唯冬だけのものだった。
ぽんぽんっと背中を叩かれてハッとした。
カフェのお客さん達が唯冬を見ている。
大丈夫、私じゃない。
合わせて弾けば、大丈夫。
隣には唯冬がいるのだから。
鍵盤に指をおいた。
指は動く。
けど―――音が違っていた。
唯冬の音は穏やかで優しい。
その音に負けてしまうのだ。
私の音が。
焦る気持ちに気をとられてミスタッチするとそこから崩れてしまった。
「……っ!」
流れるように弾けずにちぎれる音、つまずいて足を踏んでしまって、裾で転ぶ。
散々なワルツ。
もう弾けない―――そう思った瞬間、唯冬が小さく『大丈夫?』と囁く。
泣きそうな顔をした私に気づいて、目で合図して指を離させた。
唯冬は一人で最後まで弾ききると店内からは拍手が起こる。
大きな雨音のような拍手が。
これはすべて唯冬だけのものだった。
ぽんぽんっと背中を叩かれてハッとした。