両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
ドアノブを持つ手が震えて力が入らない。
動くことができず、固まっていると向こうは忌まわしいものでも見たというような態度で顔をしかめた。
そんな顔をするくらいなら、私に会いにこなければいいのに―――!
両親はまだ私を赦してくれていないのだとわかった。
それなら、なぜここにきたのだろうか?

「千愛。あなたに話があるの」

「な、なに、お母さん……」

うまく言葉がでなかった。
怯える私を嗤う虹亜―――まだ一人ずつならばよかった。
今まで三人が揃って現れることなんて一度もなかったのになぜ。

「ピアニストの渋木さんと暮らしていると聞いたのよ」

「同棲しているのか?」

虹亜が二人の後ろで笑っていた。
両親は私への関心がない。
だから、言わなくてもいいと思っていたけど、そんなことなかったのだろうか。

「ええ……。付き合っているの」

両親は眉をひそめた。

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