両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
もちろん貯金もある。
けれど、音楽をやるにはお金がかかるし、入学してからも必要になる。
今できることを選択していくしかない。

「本気なら応援するよ、全力で」

「うん……ありがとう。唯冬がいたから、ピアニストになりたいって思えたの。今度はピアニストの雪元千愛として対等な立場で唯冬と弾きたい」

私が目指したいもの―――それは唯冬と対等でありたいという結論だった。

「わかってるよ。俺も千愛を追いかけていたから、その気持ちは痛いほど」

「うん……」

「それじゃあ、未来の話はここまでにして今を楽しもうか」

そう言って唯冬はシャンパングラスを渡してくれた。
私の選んだ道を祝福するように。
そして、シャンパングラスにシャンパンを注ぎ、フルーツやカナッペを食べながら、大きな窓から見える夜景を楽しんだ。
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