両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
マンションからも夜景は見えるけど、ホテルからの眺めはまるで夜の海を見渡すみたいに広く遠くまで続いていて、すごく贅沢な気分だった。
飽きずに眺めている私にシャンパンを飲みながら、唯冬は言った。

「そういえば、プロポーズには答えてくれないのかな?奥さん?」

返事をするのを忘れていた。
窓の外を眺めるのをやめて、振り返ると唯冬がすねたようにシャンパングラスを揺らしていた。

「もう決まってるわ」

「それでも、返事は欲しいものだろ?」

窓から離れて唯冬のそばに行く。
そして、首に腕を回して耳元で囁いた。

「私でいいなら」

もちろんと唯冬が言った言葉を待てずにキスをした。
甘く深いキスを―――

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