両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
「はあ?なんでだよ。俺達が不仲だとか、噂されると仕事が減るぞ?」

知久はビジネス、ビジネスと言いながら、ひらひらと手を振っていた。
さすがにそこまではしないが―――

「収入が減るのは困るな」

音楽をやっている以上は自立していないと親がうるさい。
それは俺だけじゃなく、二人も同じで音楽で食べていける人間は一握りだけ。
今のうちに将来の道を作っておかなくてはならない。
親に口出しされないうちに。

「あ、次かな」

逢生が目をぱちっと開けた、

「唯冬。次は雪本さんだね」

「よく覚えているな」

ただ眠っているだけの男かと思っていたが、違うらしい。

「ちゃんと聴いてる」

「えっ!?逢生、聴いてたのか?」

知久が驚くと逢生は得意顔でうなずいた。

「よく眠れる曲と眠れない曲にわけて聴いてた」

「おーい。それコンクールの出場者に言うなよ?イメージダウン間違いないからな?」

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