両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
虹亜の目は憎しみに満ちている。
私の言葉なんて耳に入っていない。
階段下にある倉庫は物置になっていて、中に灯りはない―――あの部屋を嫌でも思い出してしまう。
「二回も同じコンクールで棄権しちゃったら、もう信用ガタ落ちね。また逃げたんだってみんな思うわよ」
慌てて立ち上がってドアに駆け寄ろうとした瞬間、バンッとドアが閉められ、鍵がかけられる音がした。
―――真っ暗な世界。
「や、やだ……!ここから出して!」
「懐かしいでしょ?お姉ちゃん?」
「虹亜!開けて!」
もういないのか、返事はなにも聞こえない。
とっさにドアを叩こうとして手を見た。
今、ドアを叩けない。
演奏前に手を痛めるわけにはいかなかった。
冷や汗が落ちた。
怖い。
どうしよう、このまま出れなかったら。
音大を受験して受かったとしても私は二度もコンクールから逃げだした人間だと周りから言われ続けることになる。
私の言葉なんて耳に入っていない。
階段下にある倉庫は物置になっていて、中に灯りはない―――あの部屋を嫌でも思い出してしまう。
「二回も同じコンクールで棄権しちゃったら、もう信用ガタ落ちね。また逃げたんだってみんな思うわよ」
慌てて立ち上がってドアに駆け寄ろうとした瞬間、バンッとドアが閉められ、鍵がかけられる音がした。
―――真っ暗な世界。
「や、やだ……!ここから出して!」
「懐かしいでしょ?お姉ちゃん?」
「虹亜!開けて!」
もういないのか、返事はなにも聞こえない。
とっさにドアを叩こうとして手を見た。
今、ドアを叩けない。
演奏前に手を痛めるわけにはいかなかった。
冷や汗が落ちた。
怖い。
どうしよう、このまま出れなかったら。
音大を受験して受かったとしても私は二度もコンクールから逃げだした人間だと周りから言われ続けることになる。