両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
おしゃべりな知久でさえ、黙った。
早い鐘の音、まるで戦いの鐘の音を打ち鳴らすがごとく指が鍵盤を走り、瞬きもせずに彼女は難なく弾く。
流れる指の動きは彼女がどれだけ弾きこんでいるのかわかる。
けれど―――いつもと違う?
俺だけが気づいているのか?
曲の途中で激しい熱が消え、音が機械のように淡々としていて感情のこもらぬ正確なだけの音。
呆然としてその変化を眺めていると曲が終わり、課題曲に移ろうとしている時だった。
「優勝は彼女だろうな」
「完璧だった」
二人はそう言ったが、感動にはほど遠い顔をしていた。
俺と同じように気づいている。
『優勝は決定した』客席からはそんな囁く声が聴こえる中で、彼女はガタンッと突然椅子から立ち上がった。
なにをするのだろうと全員が彼女に注目していた。
彼女はこともあろうか、次の曲を弾かずに舞台から降りた。
慌てたのは彼女の先生だ。
早い鐘の音、まるで戦いの鐘の音を打ち鳴らすがごとく指が鍵盤を走り、瞬きもせずに彼女は難なく弾く。
流れる指の動きは彼女がどれだけ弾きこんでいるのかわかる。
けれど―――いつもと違う?
俺だけが気づいているのか?
曲の途中で激しい熱が消え、音が機械のように淡々としていて感情のこもらぬ正確なだけの音。
呆然としてその変化を眺めていると曲が終わり、課題曲に移ろうとしている時だった。
「優勝は彼女だろうな」
「完璧だった」
二人はそう言ったが、感動にはほど遠い顔をしていた。
俺と同じように気づいている。
『優勝は決定した』客席からはそんな囁く声が聴こえる中で、彼女はガタンッと突然椅子から立ち上がった。
なにをするのだろうと全員が彼女に注目していた。
彼女はこともあろうか、次の曲を弾かずに舞台から降りた。
慌てたのは彼女の先生だ。