両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
「雪元さん!何をしているんだ!?戻りなさい!」
その声が届いているのかいないのか、なんの感情もない顔でスタスタと客席を横切って会場から出て行ってしまった。
俺の横を通り過ぎる時、その目にはなにも映っていなかった。
まるで、なにかを失ってそれを探す亡霊のようでーーー彼女自身もなにが起きたかわからず、呆然としていた。
彼女が自分の音を失くしたと気づいたのはきっと俺だけだ。
あの機械のような音がそれを教えていた。
「お、おい」
「唯冬……」
立ち上がり、彼女の後を追った。
「雪元さん!」
俺の呼びかけにも返事はない。
自分の世界の中にいて俺の声は届かない。
彼女は楽屋のある通路に入り、上着をはおると荷物を手にし、タクシーに一人乗って去って行った。
その姿はまるで観客と同じ。
何度、名前を呼んでも俺は彼女の目に入らない。
その声が届いているのかいないのか、なんの感情もない顔でスタスタと客席を横切って会場から出て行ってしまった。
俺の横を通り過ぎる時、その目にはなにも映っていなかった。
まるで、なにかを失ってそれを探す亡霊のようでーーー彼女自身もなにが起きたかわからず、呆然としていた。
彼女が自分の音を失くしたと気づいたのはきっと俺だけだ。
あの機械のような音がそれを教えていた。
「お、おい」
「唯冬……」
立ち上がり、彼女の後を追った。
「雪元さん!」
俺の呼びかけにも返事はない。
自分の世界の中にいて俺の声は届かない。
彼女は楽屋のある通路に入り、上着をはおると荷物を手にし、タクシーに一人乗って去って行った。
その姿はまるで観客と同じ。
何度、名前を呼んでも俺は彼女の目に入らない。