両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
少し早足になりながら、ロッカールームに急いだ。
雨に濡れて風邪をひくのはごめんだ。
風邪をひいても誰も看病なんてしてくれないのだから。
両親?
両親は私のことなんて興味はゼロ。
邪魔に思っているか、存在自体を忘れているか。
そのどちらかなんだから。
それが悲しかったこともあったけど、もう昔のこと。
今じゃ両親は将来有望なピアニストとして期待されている妹に惜しみない愛情を注いでいる。
こっちに迷惑だけはかけるなよと言われるくらいで、今どうしているのかとかなにをしているのかなんて聞かれたことはない。
『できそこない』
『失敗作』
『落ちこぼれ』
それが私への家族の評価。
最低限の学費だけは払ってくれたけれど、存在自体が許せないとばかりに私のことを常に厄介者扱いしている。
妹は馬鹿にし、私の悪口を周囲に言いふらして、周囲の人間は私から自然に距離を置くようになった。

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