両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
だんだん、それが苦しくなってきて少しずつ音が心の中からこぼれて、最後には消えた。
はぁっと隈井先生がため息をつき、手のひらで顔を覆った。
―――私にきっと失望している。
もう先生の気持ちを煩わせてはいけない。
他の生徒もいる。
もう帰ろうと思っていると、窓がこつこつと叩かれて隈井先生は顔をあげ、窓のほうを見た。
一瞬で隈井先生の暗い表情が明るいものに変わった。

「なにしにきた!!」

「生きてたか」

「しぶとい」

「コンクールでは騒がしくしてしまい申し訳ありません」

「陣川、深月、渋木っ! 他の生徒と話をしている時に邪魔をするな! まったくお前達は卒業しても迷惑しかかけない生徒だな!」

「失礼だなー。後輩達なんか俺達みただけで大喜びしてくれるっていうのにさー」

「さっさと留学先に戻りなさい。遊んでいられる場合かね!」

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