両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
自分の容姿を利用し、私を惚れさせようたってそうはいかないんだからねっ!
あの記憶を振り払うようにバッと立ち上がった。
冷蔵庫を開けてコップに冷たいお茶をいれると、それをぐぐっと一息に飲み干した。

「気分転換に食料の買い出しに行こう……」

はぁ、そうよ。
今の私は会社勤めの事務員。
ただの会社員。
肩書きもクソもない。
ただの無名の女よ。
買い物に行こうと決めて、アパートのドアを開けた。
そして、軽く後悔した。
もうすこし後でもよかったかも……
アパートの階段を下りた先に派手なTシャツを着た女性が立っていた。
それは白いメモ紙を手にした私の妹だった。
私を見つけるとまるで獲物を発見した獣のように口元ににやりとした笑みを浮かべ、ジロジロと私の姿を吟味する。

「どうしてここに……留学してたんじゃ……」

「千愛お姉ちゃん?よかったぁ。住所のメモだけじゃどこかわからなくて」
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