両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
「誰からここの住所を教えてもらったの?」
「お姉ちゃんの会社に電話して聞いたの。だって、お父さんもお母さんもお姉ちゃんの住所知らないんだもん。笑っちゃった。ほんっと、お姉ちゃんのこと興味ないんだなって」
そう言いながら、妹の虹亜がサングラスをとった。
長い髪に派手なTシャツ、ヴィンテージのデニムパンツ姿、スーツケースを手にしているのを見ると留学先から帰ったばかりなのかもしれない。
まったく連絡をとっていなかったから、それくらいしかわからない。
海外留学を知っているのは虹亜が私に『海外の音大に留学することになった』と連絡してきたからで、両親からはなんの連絡もなかった。
ないだろうとは思っていたけど……
今まで連絡一つとってなかった妹が私になんの用だろう。
虹亜はベリーカラーのリップの唇をあげて微笑んだ。