両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
その言葉のせいか、虹亜の言葉は昔ほど私の心には突き刺さらなかった。

「そうね」

虹亜のために肯定してあげた。
可哀想なのはどちらだろう。
虹亜は昔からそうだった。
『お姉ちゃん、すごいわ』『そんなふうになりたい』と言う言葉の裏では私を憎み嫌っていることは薄々感じていた。
親の愛情を私が全部奪ったと思っている。
虹亜は両親の愛が欲しくて、振り向いてもらうために努力していたことを知っていた。
けれど、両親は虹亜の才能は努力によるものでそれ以上の物にはならないと見限り、私に力を注いだのだ。
その結果がこれ。
皮肉なものだ。

「なに笑っているのよ!」

「なんでもないわ。頑張ってね、虹亜」

すっと横を通りすぎた時、低い声で虹亜は言った。
それは憎しみの音。

「お姉ちゃんみたいにはならない。そんな負け犬のような人生を送りたくないの」

負け犬。
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