恋はリハビリ中!(マンガシナリオ)
#6 アイラブユーを叫びたい女
〇月曜日は午後から初めての見学実習があり、恋は二人一組のチームで星先生のリハビリ室を訪れていた。
礼央と一緒のチームになった恋は、礼央に笑顔で話しかけた。
恋「一週間、がんばろうね!」
礼央「もし困ったことがあったらいつでも言って。俺、恋を守るから。」
恋「あ…それって私がドンくさいから?」
〇恋が苦笑いすると、礼央は真面目な顔でグットサインを出した。
礼央「とりま、俺と居れば大丈夫ってこと。」
恋(わ、心強い。)
〇恋は友だちと同じ実習先で良かったと心から安堵した。
♢
〇更衣室で糊の効いた白衣に袖を通す恋。まるでプロになったみたいで気持ちがアガる。
【恋モノローグ】
うちの大学の実習生の白衣には袖口に青いラインが入っているけど、知らない人には学生だとは分からないだろうな。
〇実習担当の【バイザー】と呼ばれる先生に先導されてリハビリ室に入ると、学校の体育館くらいの広さがある部屋は老若男女を問わず人であふれかえっていた。
横長の広い空間の壁は全面が鏡になっていて、ジムにあるようなトレーニングマシンや歩行リハビリに使う平行棒が設置されている。
恋(高校生のときは毎週のように通っていた場所なのに、立場が違うと圧倒されるな。)
バイザーの先生は一通りの機器の説明をしたあと、早口で恋と礼央に釘を刺した。
バイザー「まずは挨拶をしっかりして。あと、患者さんの動線を塞がないように配慮してね。
それから患者さんに話しかけられたらお話してもいいけど、患者さんの中には手術を終えたばかりの人もいるから、身体だけじゃなく心に傷を負っている人も多い。
くれぐれも言動には気をつけてください。」
恋&礼央「はい!」
〇二人は邪魔にならなさそうな部屋の隅に立って見学させてもらった。
バイザーの先生が受付に呼ばれて部屋を出ていく時に、眼鏡の奥からジロリと恋を見る。
バイザー「あとで僕の患者さんに術後のリハビリについての説明をしてもらいますので、そのつもりで。
まず、葉奈乃さんからね。」
恋(い、いきなり私⁉)
〇緊張で頭が真っ白になる恋。
そんな時、窓際の訓練台が騒がしくなった。
大きな女の声「ベリーベリーキュートッ!」
恋「んッ?」
礼央「おい、アレ見てみろよ!」
〇礼央に肘で突かれて窓際の訓練台をよく見てみると、豊満なボディの金髪の白人女性が星先生に腕を絡ませて迫っていた。
恋(ちょ、ま!
なんじゃいあの、ボン・キュッ・ボンオンナは~⁉)
〇恋は二人に目が釘付けになった。
ジェシー「アナタのおかげでワタシの足はカンペキに治りマシタ!
ソウタ、 結婚してクダサイ‼」
恋(えええ~⁉)
〇案の定、星先生の顔色が青白くなっている。
【恋モノローグ】
先生の顔が険しい! 患者さんには出ないはずの女性アレルギーが発動しているの!?
恋(先生、がんばって!
病院の患者さんに塩対応な接客をしたら、きっとマイナスだよ!)
〇礼央が星先生の様子を見て無邪気に笑っている。
恋は歯をむき出してイラッとする。
恋(面白いもんか。ピンチだっつーの!)
〇恋を振り返った礼央が顏を引きつらせた。
礼央「おい、なんだよその顏…。」
〇鏡に映った自分の顏にギョッとする恋。
(鬼の形相をしている。)
礼央「なぁ、近くで見学させてもらおうぜ。」
恋「え、このタイミングで?」
礼央「今でしょ!」
〇いたずらな顏でウインクすると、礼央が恋の腕をグイグイ引っ張って二人が居る訓練台の前に来た。
恋(礼央って怖い物知らず!)
礼央「せんせー、見学させてもらってもいいですか?」
〇笑顔をなくした星先生は礼央に無反応。
恋(うわ、男にまでソルト先生になってる!
余裕なさ過ぎ…。)
〇星先生はジェシーの腕を外しながら冷たくたしなめた。
星「いい加減にしてください。ここは病院ですよ。」
ジェシー「フタリがいれば、ココは天国!」
〇めげないジェシーは周りの目を気にすることなく、星先生に胸をギュウギュウ押し付けている。
恋(おのれ、ペタンコ胸の私にはできないことを…じゃなくて、ねぇ誰か止めてくれないの?)
〇キョロキョロと見渡しても、他のセラピストたちは遠巻きに見守っているだけ。
しかし、患者さんにはアレルギーが出ないと言っていたはずの星先生の顏色が明らかに悪い。
恋(何か私にできることはないの・・・⁉)
ジェシー「ソウタ待ってヨ!」
星「…。」
〇黙って逃げようとした星先生を追ってジェシーが訓練台から立ちあがる。
その足を見て、恋はハッとした。
恋「待ってくださいジェシーさん!」
〇思わずジェシーの肩を掴んで引き止める恋に、ジェシーは不審な顏をして振り返る。
ジェシー「ダレ? 」
恋「通りすがりの実習生です!」
ジェシー「だから? イマ、取り込み中。ヒトの恋路を邪魔するヤツはジェシーに蹴られて死んじゃうヨ?」
恋(ん? それを言うなら馬じゃなかったっけ?)
〇ジェシーが不機嫌そうに長くて太い足をシュッと前に蹴り上げた。
恋「ヒェッ! 凄い迫力‼」
ジェシー「試してミル?」
〇縦も横も恋の二倍はありそうなジェシーに凄い剣幕で詰められて、恋は生つばを飲み込んだ。
恋「違うんです。あの、まだ腰が完治していないみたいなので立ち上がる時は気をつけたほうがいいと思いまして!」
ジェシー「ハ? 腰⁇」
〇ジェシーが眉をひそめて声を荒げた。
ジェシー「ワタシは、ヒップじゃなくてレッグを痛めたのヨ。
分からないなら口を出さないデ。学生はシャラップヨ!」
〇敵意むき出しの怒声を真正面から浴びて、恋は震えあがる。
恋(ヒェッ、ヘタこいた!
患者さんを怒らせちゃった!!)
礼央と一緒のチームになった恋は、礼央に笑顔で話しかけた。
恋「一週間、がんばろうね!」
礼央「もし困ったことがあったらいつでも言って。俺、恋を守るから。」
恋「あ…それって私がドンくさいから?」
〇恋が苦笑いすると、礼央は真面目な顔でグットサインを出した。
礼央「とりま、俺と居れば大丈夫ってこと。」
恋(わ、心強い。)
〇恋は友だちと同じ実習先で良かったと心から安堵した。
♢
〇更衣室で糊の効いた白衣に袖を通す恋。まるでプロになったみたいで気持ちがアガる。
【恋モノローグ】
うちの大学の実習生の白衣には袖口に青いラインが入っているけど、知らない人には学生だとは分からないだろうな。
〇実習担当の【バイザー】と呼ばれる先生に先導されてリハビリ室に入ると、学校の体育館くらいの広さがある部屋は老若男女を問わず人であふれかえっていた。
横長の広い空間の壁は全面が鏡になっていて、ジムにあるようなトレーニングマシンや歩行リハビリに使う平行棒が設置されている。
恋(高校生のときは毎週のように通っていた場所なのに、立場が違うと圧倒されるな。)
バイザーの先生は一通りの機器の説明をしたあと、早口で恋と礼央に釘を刺した。
バイザー「まずは挨拶をしっかりして。あと、患者さんの動線を塞がないように配慮してね。
それから患者さんに話しかけられたらお話してもいいけど、患者さんの中には手術を終えたばかりの人もいるから、身体だけじゃなく心に傷を負っている人も多い。
くれぐれも言動には気をつけてください。」
恋&礼央「はい!」
〇二人は邪魔にならなさそうな部屋の隅に立って見学させてもらった。
バイザーの先生が受付に呼ばれて部屋を出ていく時に、眼鏡の奥からジロリと恋を見る。
バイザー「あとで僕の患者さんに術後のリハビリについての説明をしてもらいますので、そのつもりで。
まず、葉奈乃さんからね。」
恋(い、いきなり私⁉)
〇緊張で頭が真っ白になる恋。
そんな時、窓際の訓練台が騒がしくなった。
大きな女の声「ベリーベリーキュートッ!」
恋「んッ?」
礼央「おい、アレ見てみろよ!」
〇礼央に肘で突かれて窓際の訓練台をよく見てみると、豊満なボディの金髪の白人女性が星先生に腕を絡ませて迫っていた。
恋(ちょ、ま!
なんじゃいあの、ボン・キュッ・ボンオンナは~⁉)
〇恋は二人に目が釘付けになった。
ジェシー「アナタのおかげでワタシの足はカンペキに治りマシタ!
ソウタ、 結婚してクダサイ‼」
恋(えええ~⁉)
〇案の定、星先生の顔色が青白くなっている。
【恋モノローグ】
先生の顔が険しい! 患者さんには出ないはずの女性アレルギーが発動しているの!?
恋(先生、がんばって!
病院の患者さんに塩対応な接客をしたら、きっとマイナスだよ!)
〇礼央が星先生の様子を見て無邪気に笑っている。
恋は歯をむき出してイラッとする。
恋(面白いもんか。ピンチだっつーの!)
〇恋を振り返った礼央が顏を引きつらせた。
礼央「おい、なんだよその顏…。」
〇鏡に映った自分の顏にギョッとする恋。
(鬼の形相をしている。)
礼央「なぁ、近くで見学させてもらおうぜ。」
恋「え、このタイミングで?」
礼央「今でしょ!」
〇いたずらな顏でウインクすると、礼央が恋の腕をグイグイ引っ張って二人が居る訓練台の前に来た。
恋(礼央って怖い物知らず!)
礼央「せんせー、見学させてもらってもいいですか?」
〇笑顔をなくした星先生は礼央に無反応。
恋(うわ、男にまでソルト先生になってる!
余裕なさ過ぎ…。)
〇星先生はジェシーの腕を外しながら冷たくたしなめた。
星「いい加減にしてください。ここは病院ですよ。」
ジェシー「フタリがいれば、ココは天国!」
〇めげないジェシーは周りの目を気にすることなく、星先生に胸をギュウギュウ押し付けている。
恋(おのれ、ペタンコ胸の私にはできないことを…じゃなくて、ねぇ誰か止めてくれないの?)
〇キョロキョロと見渡しても、他のセラピストたちは遠巻きに見守っているだけ。
しかし、患者さんにはアレルギーが出ないと言っていたはずの星先生の顏色が明らかに悪い。
恋(何か私にできることはないの・・・⁉)
ジェシー「ソウタ待ってヨ!」
星「…。」
〇黙って逃げようとした星先生を追ってジェシーが訓練台から立ちあがる。
その足を見て、恋はハッとした。
恋「待ってくださいジェシーさん!」
〇思わずジェシーの肩を掴んで引き止める恋に、ジェシーは不審な顏をして振り返る。
ジェシー「ダレ? 」
恋「通りすがりの実習生です!」
ジェシー「だから? イマ、取り込み中。ヒトの恋路を邪魔するヤツはジェシーに蹴られて死んじゃうヨ?」
恋(ん? それを言うなら馬じゃなかったっけ?)
〇ジェシーが不機嫌そうに長くて太い足をシュッと前に蹴り上げた。
恋「ヒェッ! 凄い迫力‼」
ジェシー「試してミル?」
〇縦も横も恋の二倍はありそうなジェシーに凄い剣幕で詰められて、恋は生つばを飲み込んだ。
恋「違うんです。あの、まだ腰が完治していないみたいなので立ち上がる時は気をつけたほうがいいと思いまして!」
ジェシー「ハ? 腰⁇」
〇ジェシーが眉をひそめて声を荒げた。
ジェシー「ワタシは、ヒップじゃなくてレッグを痛めたのヨ。
分からないなら口を出さないデ。学生はシャラップヨ!」
〇敵意むき出しの怒声を真正面から浴びて、恋は震えあがる。
恋(ヒェッ、ヘタこいた!
患者さんを怒らせちゃった!!)