蜜味センチメンタル
——どうして、こんなにも、愛しいんだろう。
彼女がくれた約束の言葉が、胸の奥にあたたかく灯る。
たった一言で、こんなにも救われるものなのかと、初めて知った気がした。
今までは、誰かと一緒にいても、心のどこかにぽっかりと穴が空いたままだった。
誰かに心を預けようなんて、思ったこともなかった。
でも今は違う。
羅華が「帰ってくる」と言ってくれた。それが、何より嬉しかった。
たとえ短い時間でもいい。
年末のわずかな別れさえも、約束があるなら乗り越えられる。
「……じゃあ、4日からは空けておきますね」
「うん。絶対にね」
その返事が、嬉しくてたまらなかった。
そっと彼女の髪を撫でる。
まだ少し眠たげなその横顔に、ひとつキスを落とした。
この手の中にあるものを、もう二度と手放したくない。そう強く思いながら、那色はゆっくりと目を閉じる。
窓の外では、冬の朝らしい光が街をやさしく包み始めていた。
もうすぐ、この温もりから離れなければならない。
それでも今この瞬間だけは、ふたりだけの時間として胸に閉じ込めておきたかった。
そして何よりも。
自分のもとへ「帰ってくる」と言ってくれた彼女を、ずっと待っていようと思った。