蜜味センチメンタル
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年末の街は、いつもより少し静かだった。人通りもまばらになった夜の駅前で、那色は羅華を見送ってからしばらく、足元に落ちる影を見つめていた。

「4日に、帰ってくるね」

そう笑ってくれた彼女の言葉が、まだ胸にあたたかく残っている。寂しさはある。けれどそれ以上に、確かな約束があることが、こんなにも心を強くするのだと初めて知った。

その足で向かった店で淡々と業務をこなした。年内最後の営業を終え、閉店作業の音が静かに響く。

そんななか、厨房から顔を出した大和が「ちょっと飲むか」と声をかけてきた。

兄弟ふたりだけの晩酌。
那色は酒癖が悪いので、今夜もノンアルのリンゴジュース。大和は缶ビールを片手に、カウンター席に腰を下ろした。

「お前、羅華ちゃんとはどうなってんの?」

ビールを一口飲んだ後、大和がぽつりとこぼす。
那色は手元のグラスを指先でなぞりながら、小さく頷いた。

「無事に付き合えましたよ」

「それはおめでとさん。……じゃなくて、それは知ってんだよ。クリスマスの日、クソ忙しい中送り出してやったのは誰だと思ってるんだ?」

「悪かったよ。けど、感謝してます」

「俺が聞きたいのは、どこまで話してんのって事」

その問いに、那色の指先がぴたりと止まる。
来ると思っていた。来なければ逆に不自然だとも思っていた。


「……まだ。タイミングを見てる」

「見てる、ね」

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