蜜味センチメンタル
食事を終えて、重箱を片づけたあと。
ふたりはソファに並んで座っていた。
那色は満腹を味わうように背もたれへ身を預け、羅華はその隣で湯気の立つほうじ茶のカップを両手で包み込んでいた。
「おせち、美味しかった。ありがとう那色くん」
「どういたしまして。といっても作ったのはプロの方で、僕の手柄じゃないですけど」
「でも用意してくれたのは那色くんでしょう?その気持ちが嬉しかったの」
そう言って、羅華はふわりと笑った。その横顔を見つめていた那色は、そっと彼女の肩を抱き寄せる。
「……年末、僕、羅華さんのことばかり考えてました」
「ほんと?」
「はい。何度も夢で見るくらいには、焦がれてました」
「……そっか…」
羅華もまた、そっと那色に身体を寄せた。柔らかく触れ合うぬくもりに、胸の奥がふわりと温かくなる。
「……私もね、家に帰ってから、ずっと考えてた。那色くん、今なにしてるかな、お昼寝でもしてるかなって」
「昼寝って、子どもじゃあるまいし……。まあ、実際ずっとふて寝してましたけど」
「ふふ、やった。当たり」
小さく笑いながら、羅華は囁くように続ける。
「気づいたら那色くんのことばっかり考えてて、早く会いたいなって。……だからこうして会えて、今すごく嬉しい」
「……うん。僕も、会いたかったですよ」
その言葉に、羅華はそっと顔を上げる。見上げる視線と、見下ろす視線が重なり合う。ふたりの距離が、自然と縮まった。
「……キス、してもいい?」
ぽつりと那色が呟く。
羅華は静かに頷き、目を閉じた。