蜜味センチメンタル
静かな午後。
やわらかな吐息と唇が重なる音が、世界のすべてを塗り替えていく。
長くはなかった。けれど確かな、恋人としてのキス。離れたあと、那色は揶揄うように微笑んだ。
「新年初キス、いただきました」
「なにそれ」
「夢の中の羅華さんとは何回もしてましたけどね」
「わ、浮気だ」
その言葉に、那色も目を細めて笑う。
「……じゃあ、今日からは、本物の羅華さんがずっとそばにいてくれますか」
「ずっと?」
「ずっとです。食事も、お風呂も、寝る時も、ずっと」
「ちょっと待って。今お風呂って言った?」
「だめですか」
「だめ…っ、というか、恥ずかしい、というか…」
羅華が頬を染めながら視線を逸らす。
けれど那色は、いたずらっぽく笑ったまま肩を竦めた。
「じゃあ一緒に入るのは次回ということで」
「次回って…決定事項みたいに言わないで!」
「はいはい。じゃあ、今日はご飯一緒に食べたし、次は……」
そう言って、那色は体を倒し、ぽん、と羅華の膝の上に頭を落とす。
「えっ、那色くん?」
「膝枕。新年サービスです」
「サ、サービスって……」
「ずっと寂しかったんです。羅華さんに甘やかしてもらいたかった」
囁くような声に、もう拒む理由なんてなかった。
「……じゃあ、ちょっとだけ」