蜜味センチメンタル
「でも、それは救いじゃなかった。ただ自分の中の空虚を埋めたくて、すぐに冷める炎みたいな関係を繰り返して……。誰かを傷つけてると分かっていても止められなかった」
那色はそっと顔を伏せ、羅華の手の甲に額を預けた。
「……だけど、羅華さんに会ってから、少しずつ変わったんです。僕と似たような環境でいながら、傷つきながらも過去から目を逸らさない強さがあって、たった1人を想い続けてた。……報われない愛なんて嫌だったはずなのに……そんなあなたから、愛されてみたくなった」
その言葉に、羅華の胸がじんと熱くなる。
震える声で語られるその告白に、羅華の目が潤んでいた。
彼の痛みも、迷いも、孤独も、全部まるごと抱きしめたくなった。
那色を抱きしめたまま、羅華は何も言えなかった。
どんな言葉も彼の傷には軽すぎる気がして。
彼が語った“真実”は、想像すらしていなかったものだった。
あまりに静かに、でも確かに、彼の人生を蝕んできた何か。
それを、初めて聞いた相手として自分がここにいる。……その重みが、胸にずしりとのしかかる。