蜜味センチメンタル
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週末の土曜日に行くと言ったものの、金曜の夜、羅華の足は自然とLa Paceへ向かっていた。
単純にお腹が空いていたというのもあるし、週明けから怒号を喰らっての連日続いた残業。そのせいで週末にはすっかり疲弊して、どうしてもあの店の雰囲気に癒されたくなってしまった。
同僚から飲みに誘われたが、二つ返事で断った。
華が足りないだの、たまには付き合えだの口々に言われたが、ただでさえ疲れているのに羽目を外して酔う面々にウザ絡みされ疲弊するのが分かっていて誰が行くかと思いたくもなる。
代わりに鎌田を生贄として差し出しておいたので、華に関しては問題無かろう。
店の前に到着し、一息ついてドアを引く。いつもと同じジャズの音楽と共に大和の柔らかな笑顔が迎えてくれるかと思いきや、カウンターにいたのは那色一人だった。
那色は羅華を見るなり一度目を開いたが、すぐに微妙な表情に変えた。
「…いらっしゃいませ」
どことなくぎこちない空気を感じつつ、挨拶を返して羅華は特等席につく。
「那色くん一人?大和さんは?」
「裏にいます。…呼びますか」
「ううん、いいよ。裏ってことはキッチンでしょう?邪魔しちゃ悪いしね」
そうですかと那色は視線を落としたまま手元を動かす。「何にされますか」と定型分の問いかけを寄越してきたので、羅華は苦笑いを向けた。
「マルガリータ。あとミックスナッツ頂戴」
言葉短くそう言った羅華に、那色の訝しげな視線が向けられる。
「初っ端からそんな強いの入れていいんですか。飲みやすさに誤魔化される方多いですけど、テキーラベースなんで度数結構高いんですよ」
「分かった上での注文だよ。酔いたいんだよ、だからいいの」
週末の土曜日に行くと言ったものの、金曜の夜、羅華の足は自然とLa Paceへ向かっていた。
単純にお腹が空いていたというのもあるし、週明けから怒号を喰らっての連日続いた残業。そのせいで週末にはすっかり疲弊して、どうしてもあの店の雰囲気に癒されたくなってしまった。
同僚から飲みに誘われたが、二つ返事で断った。
華が足りないだの、たまには付き合えだの口々に言われたが、ただでさえ疲れているのに羽目を外して酔う面々にウザ絡みされ疲弊するのが分かっていて誰が行くかと思いたくもなる。
代わりに鎌田を生贄として差し出しておいたので、華に関しては問題無かろう。
店の前に到着し、一息ついてドアを引く。いつもと同じジャズの音楽と共に大和の柔らかな笑顔が迎えてくれるかと思いきや、カウンターにいたのは那色一人だった。
那色は羅華を見るなり一度目を開いたが、すぐに微妙な表情に変えた。
「…いらっしゃいませ」
どことなくぎこちない空気を感じつつ、挨拶を返して羅華は特等席につく。
「那色くん一人?大和さんは?」
「裏にいます。…呼びますか」
「ううん、いいよ。裏ってことはキッチンでしょう?邪魔しちゃ悪いしね」
そうですかと那色は視線を落としたまま手元を動かす。「何にされますか」と定型分の問いかけを寄越してきたので、羅華は苦笑いを向けた。
「マルガリータ。あとミックスナッツ頂戴」
言葉短くそう言った羅華に、那色の訝しげな視線が向けられる。
「初っ端からそんな強いの入れていいんですか。飲みやすさに誤魔化される方多いですけど、テキーラベースなんで度数結構高いんですよ」
「分かった上での注文だよ。酔いたいんだよ、だからいいの」