蜜味センチメンタル
ぽつりと落とされた声に、羅華は目を伏せた。
「守るって、決めたんです」
肩口に押し当てられた額が、わずかに震えている気がした。
「もう、二度と。誰にも、あなたを傷つけさせないって……あの時、そう思ったのに。結局、間に合わなかった」
唇を噛む音がした気がして、羅華はそっと、那色の背に手をまわした。
「そんなことないよ」
ゆっくりと腕の中の体温を抱きしめるように、那色はさらに距離を詰めてくる。肩先が触れ合い、胸に響く鼓動の音までが伝わるほどの近さ。
「だってちゃんと来てくれたじゃない。駆けつけてくれて、守ってくれた」
柔らかく返された声に、那色は息を止めたようだった。
「……自分のこと責めないで。私は、那色くんが私を想ってくれてるだけで、それだけで何も怖くなくなるんだから」
言葉にしなければ、すれ違ってしまう思いがある。羅華はそれを知っていた。だから、怖くても、伝えた。
しばらく沈黙が続いた後、那色がそっと顔を上げる。目の奥に、滲んだ光が宿っていた。