蜜味センチメンタル
「……じゃあ、そんなに、自分が許せないなら」
羅華は、そっと微笑む。
「さっきの続きして。那色くんに触れてもらえるのが、一番ほっとするの」
「……っ」
その一言で、何かがほどける音がした。那色は何も言わず、けれど強く、羅華を抱きしめた。
さっきよりもずっと深いキスが落ちる。けれどそこには先ほどの焦りや苛立ちはなくて、ただただ、想いをなぞるような静かな温度があった。
羅華の指が、そっと那色の胸元に伸びる。
揺れる手つきでネクタイに触れ、慎重に結び目をほどいていく。その仕草は不器用で、けれど確かだった。
「……続きって、そっちも、なんですか?」
那色が、少しだけ口元をゆるめて言った。
「……いや?」
「嫌なわけないでしょ。……うれしい。嬉しすぎるから、歯止めが効かなくなるんです」
そう言った那色の声が、わずかにかすれる。
ネクタイが滑り落ちる音が静かに響き、羅華の手は一瞬止まったが、そっとシャツの第一ボタンに触れた。
震える指でひとつ、またひとつと外すたび、胸の奥が熱くなっていく。
肌が露わになるにつれて、那色の鼓動が伝わる。
震える胸元にそっと手を添えると、羅華は目を閉じて、身を寄せた。
「いいよ。……私も、同じだから」