蜜味センチメンタル

「すご……もうこんなになってる」

那色の指が深く沈み込み、内側から掻き回すように撫でられるたび、羅華の思考はじわじわと溶かされていく。

「や、ぁ……っ、言わないで…っ」

羞恥に震える声を押し出しながらも、身体は正直に快感だけを拾い上げていた。

指を折るたびに響く水音が、その場の熱と息遣いを濃密に染めていく。弱い部分をなぞられるたびに背中が自然と反り返り、細く甘い声が零れ落ちた。

その頃にはもう、羅華の胸には那色への愛しさしか残っていなかった。

「あっ…ん……っ、なしき、く……」

理性も戸惑いもとうに失われて、はやく、と懇願するように手を伸ばす。

「……羅華さん、可愛すぎ」

かすれた声の奥に、欲と焦燥がにじんでいた。

那色は差し出された手をそっと握りしめ、自分の胸元へと引き寄せる。そして、そのまま羅華を抱き込むように身体を重ねた。

深く繋がった瞬間、じんわりと熱が広がる。

壊れてしまいそうなほどの快感と、胸を満たす彼への想いに、羅華の全身が溺れていった。

「ん……っ、は……ぁ……」

重なるたび、潤んだ瞳が揺れて、甘く震える吐息が漏れる。けれどその顔には、どこかほっとしたような、安らぎの色が浮かんでいた。

指が絡まり、視線が絡む。

いま、ふたりの間にはもう、何の隔たりもない。

想いが交わるごとに、身体の奥が熱を帯びて、溶け合うようにひとつになっていく。

「……っ、これ、やば…すぐイきそ…っ」

那色の声が掠れ、いつになく余裕のない響きに変わっていた。

激しく揺れる視界の中、羅華もただ、彼を求めていた。

「んっ…あっ……ああっ」

波のように押し寄せる快感が全身を駆け抜け、その中心にあるのは、確かな「好き」の気持ち。

──彼が愛おしい。その想いごと弾けていく。

ほぼ同時に訪れた頂の感覚。体の奥深くで脈動が重なり合い、幸福の余韻がゆっくりと満ちていった。


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