先輩はぼくのもの
「先輩、もうすぐ24時ですしそろそろ帰りましょうか」
「…うん」
まだ帰りたくない。
一緒にいたい。
そんな気持ちと一緒に、あの破片のモヤモヤが膨らむ。
あの破片のラベル、そしてあの香りはきっと…
でも、まだ確証がなくて、
「ん?」
「…ううん!なんでもないよ!」
ジッと想汰くんを見てしまい、変に思われたかな!?
「先輩、変なの〜」
怖くて聞けない。
「はい」
鞄を漁ってるなと思ったら、可愛くラッピングされた箱を出した想汰くん。
「クリスマスプレゼント♪」
あ!そうだ!
プレゼント!!
「わ、わたしも…!」
色々考えちゃってプレゼントのことを忘れてた!!
「うわー!こんな良い物もらっていいんですか!?」
「うん、使ってほしい」
想汰くんにはキーケースをあげた。
前から想汰くんの雰囲気に合うなぁと思ってた物。
すごく喜んでくれてる。
嬉しい。。
トクンー…
あ…心があったかくなった気がする。
「先輩も開けてみて?」
「うん」
可愛いラッピングを開けると、中にはビジューがキラキラに光るピアスが。
「可愛い!!」
「先輩にピッタリだなと思って」
そう言いながらクシャッと笑う想汰くん。
ぎゅっ
わたしはなんだか胸がぎゅっとして、思わず想汰くんに抱きついた。
「先輩…?」
不安をかき消したいのかもしれない。
・
・
・
「じゃあ先輩、また明日ね」
「うん…」
まだ一緒にいたい
それに…聞きたい
なのに
「想汰くん、明日は手ぶらで来てよ」
「ありがとうございます」
聞けないわたし。
モヤモヤを抱えたまま家のドアノブに手をかけた。
「先輩」
想汰くんの声に振り返る。
「これからも…ぼくと一緒にいてください」
ドクンッ
いきなりの想汰くんの言葉に鼓動が大きく鳴る。
「い…いきなりどうしたの、そうー…「じゃ、おやすみなさい、詩先輩」
わたしの言葉を遮るように話した想汰くんは、そのまま家に向かっていった。
あれ・・・
わたし
なんで即答しなかったの?
家に入り、そのまま部屋を目指す。
部屋に入って探す物はひとつ。
今まで持ってなかったから使う癖が付いていなくて、飾ったままだった。
だから気付かなかった。
「やっぱりない…」
龍弥にもらった香水。
あの香りにラベルは、龍弥がくれた物と一緒だった。
思い返せば何度か想汰くんの部屋や、想汰くん自身から香った気がする。
やっぱり、あの破片は龍弥がくれた香水の物なの…?
どうして割れてるの?
どうして想汰くんの部屋に落ちてるの?
ある日、指を怪我していた想汰くんを思い出す。
もしかしてあれはーー・・・
普通、女物の香水とか見つけたら浮気とか疑うのかもだけど…
わたしを今、支配しているのは【疑惑】というような想汰くんを疑ってしまう気持ち。
もしだよ
もし、あの破片が龍弥がくれた香水の物で、想汰くん家に破片があるってことは…
想汰くんの家で割れたってことだよね?
わたし、持って行った記憶ないけど
だけど、そういうことだよね?
なにこれ
自分の気持ちがよくわからない。
せっかく龍弥がくれた物なのに…
今まで気付かなかった自分も情けないし…
聞いていいの?
いや、どう聞くの?
ねぇ
どうすればいいの…?