【番外編】橘さん、甘すぎ注意です
「ふぅ〜、ピカピカになったね」

「うん。紗良が手伝ってくれたおかげだな」

掃除を終え、ふたりはそのままバスルームへ。照明を落とし、湯船にはバスソルトを溶かして、ほんのり白濁した湯けむりが立ち上っている。

航太が先に湯船へと浸かり、続いて紗良がつかまるようにして彼の腕の中へ。背中を預け、そっと目を閉じた。

「……ん、あったかい」

「湯加減もいいけど、紗良の肌がいちばん気持ちいいな」

「やだ……またそういうこと言って……」

紗良が照れて頬を染めると、航太は後ろから首筋に軽く唇を寄せた。そのまま、耳元に息をかけるように囁く。

「今日一日、ずっとキスしてたいくらい我慢してたんだよ。あの料亭でも、手、ずっと握りたかった」

「……私も。旗野さんの視線がなければ、もっと甘えたかったよ」

くすっと笑って、ふたりは湯の中で手を繋いだ。指先がふやけるまで、何度も絡め直して。

湯気の中、ぴたりと寄り添う体。ときおり交わす軽いキスは、けれど甘く、とろけるように長くなる。

「……ねぇ、のぼせちゃうよ?」

「じゃあ、そろそろ出ようか」

そう言って笑う航太の声に、紗良はそっと目を逸らしながらも、嬉しそうに小さくうなずいた。
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