【番外編】橘さん、甘すぎ注意です
「はい、一ノ瀬さん。検査、お疲れさまでした」
診察室の椅子に腰掛けた紗良は、少し疲れた様子で医師の方を見た。横にはスーツ姿の航太が、何も言わずに静かに座っている。
「貧血の数値ですが……うん、だいぶ良くなっていますよ。まだ少し残ってはいますけど、以前と比べればずいぶん安定していますね」
「ほんとですか?」
少し不安げに尋ねた紗良に、医師はにこやかに頷いた。
「ええ。体調管理、気をつけてるのが分かります。食事も、睡眠も。……お医者さんでもある橘さんのおかげかな?」
そう言って、ちらりと航太の方を見る。彼は表情を変えず、しかしわずかに口元をゆるめて答えた。
「口うるさくしてるだけですよ。最近まで病院をさぼってたくらいですから」
「だ、だって忙しかったんだもん……」
ぷいっと顔をそむけた紗良に、医師がクスッと笑う。
「まあまあ、橘さんに叱られてでも来てくれたなら、それで充分です。こうやって定期的にチェックできれば、安心ですからね。不整脈の方も、今は安定しています。ストレスをためすぎないことと、定期的な通院を心がけてくださいね」
「……はい」
しぶしぶ返事をした紗良の手を、航太がそっと握った。
「無理にでも連れてきますので。今後もよろしくお願いします」
「頼りになりますね、まったく」
医師の穏やかな笑顔に見送られて診察室を後にすると、紗良は思わずため息をついた。
「もう……付き添いとか、ほんと恥ずかしい」
「そう? 俺は堂々としてるけど」
「……それがまた腹立つ」
ぼやく紗良の手をしっかりと握ったまま、航太は涼しい顔をして歩き出した。
診察室の椅子に腰掛けた紗良は、少し疲れた様子で医師の方を見た。横にはスーツ姿の航太が、何も言わずに静かに座っている。
「貧血の数値ですが……うん、だいぶ良くなっていますよ。まだ少し残ってはいますけど、以前と比べればずいぶん安定していますね」
「ほんとですか?」
少し不安げに尋ねた紗良に、医師はにこやかに頷いた。
「ええ。体調管理、気をつけてるのが分かります。食事も、睡眠も。……お医者さんでもある橘さんのおかげかな?」
そう言って、ちらりと航太の方を見る。彼は表情を変えず、しかしわずかに口元をゆるめて答えた。
「口うるさくしてるだけですよ。最近まで病院をさぼってたくらいですから」
「だ、だって忙しかったんだもん……」
ぷいっと顔をそむけた紗良に、医師がクスッと笑う。
「まあまあ、橘さんに叱られてでも来てくれたなら、それで充分です。こうやって定期的にチェックできれば、安心ですからね。不整脈の方も、今は安定しています。ストレスをためすぎないことと、定期的な通院を心がけてくださいね」
「……はい」
しぶしぶ返事をした紗良の手を、航太がそっと握った。
「無理にでも連れてきますので。今後もよろしくお願いします」
「頼りになりますね、まったく」
医師の穏やかな笑顔に見送られて診察室を後にすると、紗良は思わずため息をついた。
「もう……付き添いとか、ほんと恥ずかしい」
「そう? 俺は堂々としてるけど」
「……それがまた腹立つ」
ぼやく紗良の手をしっかりと握ったまま、航太は涼しい顔をして歩き出した。