【番外編】橘さん、甘すぎ注意です
さつまいもシェイクを片手に、ふたりは木陰のベンチに腰を下ろしていた。秋の柔らかな陽射しが、色づきはじめた葉を透かして降り注ぐ。

「んー!やっぱり美味しい!」
紗良が満面の笑みでシェイクを啜るたびに、頬がほんのり赤く染まる。

その様子を隣で見つめていた航太は、ふっと目を細めて呟いた。

「……可愛い紗良を、食べてしまいたい」
「……は!?」

驚いて振り返る紗良が、思わず航太の膝をパシッと叩く。

「な、なに言ってんの!」
「事実を述べただけなんだけどな」

口元にうっすら浮かべた悪戯っぽい笑みをそのままに、航太はぐっと顔を寄せてくる。息がかかるほど近くなった耳元に、低く甘い声が囁いた。

「帰ったら、味見……させて。紗良のこと」
「っ……!」

耳まで真っ赤にして、シェイクのストローをくわえたまま言葉を詰まらせる紗良を、航太は目を細めて見つめる。
秋の風よりも熱を孕んだ空気が、ふたりの間だけに流れていた。
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