【番外編】橘さん、甘すぎ注意です
リビングの灯りが温かく灯る中、紗良は足早に玄関を抜けて、まるで何かから逃げるようにリビングへと滑り込んだ。
「ふふん、今日こそ……キス攻めは防いだ!」
心の中で小さくガッツポーズ。
いつもなら、玄関で靴を脱ぐ瞬間に後ろから腕を回されて、気づけば唇を奪われている——あの一連の甘い不意打ち。
だが今日は、靴を脱ぐと同時に即座にリビングへ避難。完璧なタイミングだった。
けれど、背後からの足音が追いかけてこない。
首をかしげて振り返ると、航太は玄関に立ち尽くして、目をぱちくりさせていた。
「……何してんの?」
拍子抜けしたような口調で言いながら、航太は袋を提げて冷蔵庫へ向かう。
「え……あ、スイートポテト……」
帰りに立ち寄ったお店で、紗良が食べたいと言っていたスイーツの詰め合わせ。
それを無言で冷蔵庫へと丁寧にしまう彼の横顔を見ながら、紗良は胸の奥がちくりと疼いた。
(……なんだ、キス、しないんだ)
防御成功、なのに。
なぜかほんの少しだけ、唇が寂しさを覚えていた。
照れ隠しのように早足で洗面所へ向かい、蛇口をひねる。
手を洗う冷たい水の感触よりも、今の自分の頬のほうが熱い気がした。
「ふふん、今日こそ……キス攻めは防いだ!」
心の中で小さくガッツポーズ。
いつもなら、玄関で靴を脱ぐ瞬間に後ろから腕を回されて、気づけば唇を奪われている——あの一連の甘い不意打ち。
だが今日は、靴を脱ぐと同時に即座にリビングへ避難。完璧なタイミングだった。
けれど、背後からの足音が追いかけてこない。
首をかしげて振り返ると、航太は玄関に立ち尽くして、目をぱちくりさせていた。
「……何してんの?」
拍子抜けしたような口調で言いながら、航太は袋を提げて冷蔵庫へ向かう。
「え……あ、スイートポテト……」
帰りに立ち寄ったお店で、紗良が食べたいと言っていたスイーツの詰め合わせ。
それを無言で冷蔵庫へと丁寧にしまう彼の横顔を見ながら、紗良は胸の奥がちくりと疼いた。
(……なんだ、キス、しないんだ)
防御成功、なのに。
なぜかほんの少しだけ、唇が寂しさを覚えていた。
照れ隠しのように早足で洗面所へ向かい、蛇口をひねる。
手を洗う冷たい水の感触よりも、今の自分の頬のほうが熱い気がした。