【番外編】橘さん、甘すぎ注意です
料理が一段落したころ、一ノ瀬大臣が湯呑を手に取りながら、ふと2人を見た。
「……で? 最近は、ちゃんとデートくらいしてるのか?」
唐突に差し込まれた問いに、紗良は咄嗟に咳き込み、航太も一瞬動きを止める。
「お、お父さんっ……」
「いやなに、付き合ってるとはいえ、橘くんは仕事人間という噂だからな。娘がほったらかされてないか気になるんだ」
「……言っておきますが、さすがに放置はしてません」
珍しく航太がやや照れたように言い返すと、父は目を細めて「そうか」と頷いた。
「だったらいい。あまり仕事ばかりだと、関係も冷えるからな。……私のようにはなるなよ」
その言葉には、過去の苦味がにじんでいた。
紗良は目を伏せて、そっと航太の手の上に自分の手を重ねた。
――彼がいるから、自分は同じ轍を踏まずに済む。
そんな思いを、言葉にはせず伝えた。
そしてその様子を、出入り口の旗野は相変わらず“無言の圧”で見守っていた。
「……で? 最近は、ちゃんとデートくらいしてるのか?」
唐突に差し込まれた問いに、紗良は咄嗟に咳き込み、航太も一瞬動きを止める。
「お、お父さんっ……」
「いやなに、付き合ってるとはいえ、橘くんは仕事人間という噂だからな。娘がほったらかされてないか気になるんだ」
「……言っておきますが、さすがに放置はしてません」
珍しく航太がやや照れたように言い返すと、父は目を細めて「そうか」と頷いた。
「だったらいい。あまり仕事ばかりだと、関係も冷えるからな。……私のようにはなるなよ」
その言葉には、過去の苦味がにじんでいた。
紗良は目を伏せて、そっと航太の手の上に自分の手を重ねた。
――彼がいるから、自分は同じ轍を踏まずに済む。
そんな思いを、言葉にはせず伝えた。
そしてその様子を、出入り口の旗野は相変わらず“無言の圧”で見守っていた。