私の愛した彼は、こわい人
「どうしたんですか……?」

 勇気を持って、彼に話しかけてみる。
 ジュースを一気飲みし、オーナーはひと息吐いた。

「お前は気にするな」

 少しだけ口調は柔らかくなったけれど、憂いの文字が彼の表情に刻まれていた。
 そんなこと言われたって、心配するに決まってる……。

「帰るぞ」

 私が落胆しているのも気に留めない様子で、彼はサッと立ち上がった。
 私はユウキさんたちに会釈をし、彼のあとを付いていく。
 すると、扉の一歩手前で柳田さんが私たちのところへ歩み寄ってきた。

「ねえ、ジン」

 その声は、微かに震えていて。

「無茶はしないで。あなたには、幸せになってほしいのよ」

 なぜか、私の顔を見る柳田さん。
 彼は大きく頷いた。

「心配ないよ。俺は、強いからな」
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