私の愛した彼は、こわい人
 特別。
 ……特別って?
 彼の口から綴られた言葉に、私は首を傾げる。

「俺はこれまで、態度や言葉でアスカに気持ちを伝えてきたつもりなんだが。まだ、わかってくれないのか」
「あの。えっと……」

 わからない。わからないよ。
 だって、私なんかが彼にとって「特別」だなんて。ありえないでしょう?
 彼は私の両肩にそっと手を置き、目を見つめた。
 サングラスの向こうに映るその瞳は、とてもあたたかみのあるもの。

「俺は、自分が許した相手しか家に上げない。触れたい人にしか触らない。アスカを守りたいという想いも、どんどん強くなっている」

 ひとつひとつの言葉を丁寧に綴り、彼は私の頬にそっと触れた。
 穏やかな表情や優しい口調、手のぬくもりから伝わってくる。偽りのない、彼の「本心」が。
 驚きと同時に、胸が熱くなった。

「アスカは、俺のことが嫌いか?」

 そうやって、怯えたような声で訊かないで。いつもみたいに厳格で、態度が大きくて怖い雰囲気を醸す神楽オーナーはどこに行ったんですか……?
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