私の愛した彼は、こわい人
 内診が終わり、診察室でもう一度先生とお話をした。

「先生。ひとつ訊いてもいいですか?」
「どうぞ」
「……その。パートナーとそういう行為をしたのがつい最近で。たとえば、十二月のはじめにできた子、というのはありえますか……?」

 なんてバカな質問だろう。
 だけどどうしても信じたくなくて。訊かずにはいられなかった。
 先生はゆっくりと首を横に振る。

「その可能性はほぼないでしょう」

 予想通りの返答だった。
 私の心臓がこれまでにないほど低く唸り声を上げる。

「では、いつできたんですか……?」
「妊娠七週目ですから、十一月半ばの性交渉で授かったことになります」
「……そんな」

 手が、震えた。震えが、止まらない。寒くないのに、悪寒が走った。
 お腹の子は、一ヶ月以上前に授かった赤ちゃん。
 つまり、それは。

 ──タクトとの間にできた子なんだ。
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