私の愛した彼は、こわい人
 どうしてタクトがそのことを……? 私だって、さっき知ったばかりなのに!?
 私が唖然とする横でタクトは不敵な笑みを浮かべる。

「驚かなくていいんだよ。僕は君のことなら全部わかってる」 
「なんで知ってるの!?」
「ククク……。怖がってるアスカも可愛いね」
「答えてよ。どうしてあなたが妊娠のことを知ってるの!?」

 タクトはサッと手を差し伸べ、私の鞄を指さした。

「アスカは鈍感だなぁ。君のバッグの中に、GPSと盗聴器を仕掛けておいたんだよ」
「え……? なに、それ」
「内側のポケット。その中に入っているよ。いつ気づかれるか心配だったけど、意外にわからないものなんだね。まあ、小さすぎるから仕方ないか」

 背中が、ゾクッとした。
 鞄に手を伸ばし、おそるおそる中を開けた。複数ある内ポケットの使っていない場所を覗いてみると……
 たしかに、あった。見覚えのない小型の機器が。小指よりも小さなもので、言われないとこれがなんなのかすらわからない。
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