私の愛した彼は、こわい人
「いつからこんなもの……!」
「アスカが神楽に連れ去られた後だよ。荷物をアパートに置きっぱなしにしただろ。そのうちバッグを取りに戻ってくると思ったからさ、忍ばせておいたよ」

 タクトの顔は異常者そのもの。目が血走っていて、言動全てがイカれている。

「あのボロボロの御守りも、ついでに切り裂いてやったんだ。君があまりにも大事にしてたからさぁ。似合わないよ、綺麗なアスカには。ゴミみたいなものだ。僕って気が利くよね」

 その言葉を聞いた瞬間、私の中でなにかがキレた。
 小型機器を投げ捨て、感情のまま叫んでしまった。

「ふざけないで!!」

 私の怒りは、狭い境内に響き渡る。

「タクト、おかしいよ!! 私の鞄にこんなもの仕掛けて、ずっと監視してたんだよね!? それに……私の大事なものをあんな風に切りつけるなんて。どうかしてる。タクトはおかしい!!」

 息が上がり、顔が熱くなった。
 悔しくて、悲しくて、惨めでたまらない。こんな人に振り回されていた自分がみっともない。 
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