私の愛した彼は、こわい人
第五章
◆
それから数日が過ぎた。
十二月二十四日。
明日はクリスマスだ。……ジンさんと夜景を見にいく約束をした日だった。
なにを思い出しているのか。クリスマスデートの約束なんて、もう果たされることはないのに。
ジンさんは献身的に私の身の回りの世話をしてくれた。仕事から帰ってくると、トマトスープを作って食べさせてくれた。戻してしまっても一切責めず、むしろ私の体調を心配していた。
まともに食事を取れない日々を送っていたせいで、体力は瞬く間に落ちていった。一人でトイレに行くのも難しい。シャワーを浴びるのも、着替えるのさえできなくなった。
ジンさんの手を借りず自分のことは自分でしたい。意に反して、今の私は彼に手伝ってもらわなければなんにもできない。
『アスカは妊娠しているんだ。体を大事にするのが最優先だぞ』
そんな彼の思いやりが、逆に苦しかった。