私の愛した彼は、こわい人
『な、なんで? 出て行く必要なんてないでしょう』
「いえ……これ以上、彼と一緒にはいられないですから」
『どうしてそんな風に言うわけ』
「ユウキさんならわかるはずです」
『わかんないわ。いや……まさか。あんた、あのDV男の言うことに翻弄されてるわけじゃないでしょうねっ?』
珍しくユウキさんが焦っている。震えた声で、私に訊ねるの。
『……ジンの親父の件で、動揺したの?』
「え」
ジンさんの、お父さんの件?
思いがけない話が出てきた。そういえば、タクトはオアシスで話し合いをしていた際、なにかとんでもない事実をぶちまけていたんだっけ。
ジンさんが、ジンさんのお父さんが──
「裏社内の人なんですよね?」
『……そうよ』
電話の向こう側で、ユウキさんが大きなため息を吐いた。
『この際だから言っとくけど、あいつの親父、川崎に拠点を置く菊池組の幹部なの。詐欺や闇金、違法賭博とか、金儲けのためならなんでもする組織の頭。……ジンは、そんな父親を恨んでる』
ユウキさんの声は、これまでにないほど低くなっていて。悲しそうだった。
「いえ……これ以上、彼と一緒にはいられないですから」
『どうしてそんな風に言うわけ』
「ユウキさんならわかるはずです」
『わかんないわ。いや……まさか。あんた、あのDV男の言うことに翻弄されてるわけじゃないでしょうねっ?』
珍しくユウキさんが焦っている。震えた声で、私に訊ねるの。
『……ジンの親父の件で、動揺したの?』
「え」
ジンさんの、お父さんの件?
思いがけない話が出てきた。そういえば、タクトはオアシスで話し合いをしていた際、なにかとんでもない事実をぶちまけていたんだっけ。
ジンさんが、ジンさんのお父さんが──
「裏社内の人なんですよね?」
『……そうよ』
電話の向こう側で、ユウキさんが大きなため息を吐いた。
『この際だから言っとくけど、あいつの親父、川崎に拠点を置く菊池組の幹部なの。詐欺や闇金、違法賭博とか、金儲けのためならなんでもする組織の頭。……ジンは、そんな父親を恨んでる』
ユウキさんの声は、これまでにないほど低くなっていて。悲しそうだった。