私の愛した彼は、こわい人
「ユウキさん、私……違うんです。ジンさんの家庭環境がどうとか、お父様の問題がどうとか、そんなの関係なくて」
『うん』
「ただ、ジンさんが好きなんです。仕事中はすごく厳しいのに、二人きりでいるときは人が変わったように笑うところとか」
『うん』
「色んな人に手を差し伸べられる優しさもあって。煙草はたくさん吸うけどお酒は飲めなくて。なのにオレンジジュースが大好きなところとか」
『うん』
「そんな彼が好きなんです。好きすぎるからこそ、私は彼と一緒にいちゃいけないんです……」
うんうん、と柔らかい声で頷いてくれるユウキさんは、ふっと鼻で笑う。
『そうね、アスカならそう言うと思ったわ。あいつ自身を見ているのよね』
「はい」
『あんまりマイナス思考にならないで? あんたはどうしようもない厄介娘だけどさ、礼儀正しいし素直だし憎めない可愛らしさがあるのよね。ジンがこれくらいのことであんたを諦めるわけないっての』
「これくらいのことって……私、タクトとの子を身籠もってるんですよ?」
『産むにしても堕ろすにしても、ジンはあんたの答えを受け入れるわよ。時間は限られてるけどさ、ガキのことで悩むのはとりあえず後回し。とにかく、ジンと別れるなんてバカなこと言わないで。あいつ、アスカにフラれたら発狂しちゃうわよ。ジンを信じてあげなさい』
と言いながら、ユウキさんは電話の向こうで笑った。
私、バカだな……。ユウキさんの言うとおり後ろ向きで、悩みすぎて、愛する人を手放そうとしている。
『死にそうな妊婦が一人で外にいるなんて危険よ。今、迎えに行くわ。どこにいるの?』
「マンションの裏通りです……」
『わかった。すぐ行くから待ってなさい!』
そう言って、ユウキさんは慌ただしく通話を切った。
『うん』
「ただ、ジンさんが好きなんです。仕事中はすごく厳しいのに、二人きりでいるときは人が変わったように笑うところとか」
『うん』
「色んな人に手を差し伸べられる優しさもあって。煙草はたくさん吸うけどお酒は飲めなくて。なのにオレンジジュースが大好きなところとか」
『うん』
「そんな彼が好きなんです。好きすぎるからこそ、私は彼と一緒にいちゃいけないんです……」
うんうん、と柔らかい声で頷いてくれるユウキさんは、ふっと鼻で笑う。
『そうね、アスカならそう言うと思ったわ。あいつ自身を見ているのよね』
「はい」
『あんまりマイナス思考にならないで? あんたはどうしようもない厄介娘だけどさ、礼儀正しいし素直だし憎めない可愛らしさがあるのよね。ジンがこれくらいのことであんたを諦めるわけないっての』
「これくらいのことって……私、タクトとの子を身籠もってるんですよ?」
『産むにしても堕ろすにしても、ジンはあんたの答えを受け入れるわよ。時間は限られてるけどさ、ガキのことで悩むのはとりあえず後回し。とにかく、ジンと別れるなんてバカなこと言わないで。あいつ、アスカにフラれたら発狂しちゃうわよ。ジンを信じてあげなさい』
と言いながら、ユウキさんは電話の向こうで笑った。
私、バカだな……。ユウキさんの言うとおり後ろ向きで、悩みすぎて、愛する人を手放そうとしている。
『死にそうな妊婦が一人で外にいるなんて危険よ。今、迎えに行くわ。どこにいるの?』
「マンションの裏通りです……」
『わかった。すぐ行くから待ってなさい!』
そう言って、ユウキさんは慌ただしく通話を切った。