私の愛した彼は、こわい人
 こんなにネガティブな自分に呆れるばかり。
 小さい頃からそうだった。母に見捨てられ、養護施設で男の子たちには心ない暴言を吐かれ虐められ、物心ついたときから他人から否定されてきた。だから自分は生きてる価値もないんだと思っていた。
 でも──私を救ってくれる人が現れて。こんな私のことでも守ってくれる人がいるんだと、衝撃を受けて。彼と出会ったことをきっかけに、少しだけ、他人に心が開けるようになった。
 養護施設を卒所して祖母と暮らすことになったときも、彼女からの愛情を素直に受け止められた。祖母が亡くなり孤独になっても前を向いて生きていきたい──そう思っていたのに。
 やっぱり私は、いつもどこか自信がなくて。
 こんな不安定な私でも、これだけは否定できない。誰かを本気で好きになれたこと。彼を、ジンさんを想う気持ちは本物だってこと。
 今度こそ幸せになりたいって強く思えたんだ。

『ジンを信じてあげて』

 ユウキさんのあのひとことが、私の中に大きく響いた。
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